もちのシャドール考察

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ハウンド「僕のことも忘れないで欲しい」

 一気に冷え込んでまいりましたね。寒波の到来でビュービューと冷たい風が私の肌に突き刺さります。慌ててヒートテックです。痩せっぽちなせいでミートテックがないので防寒着が欠かせません。寒波といえば禁止カードに《大寒波》がありますが、あれ来るとシャドール的には即死なので、シャドールは総じて寒がりだということなのでしょうか。4月生まれや7月生まれも多いですし、割と仕方ないのかもしれませんね。ウェンディゴたちが11月中旬で、アノマリリスだけ2月生まれというのも何か大寒波に弱い彼らの気持ちをよく分からせる何かがある気がします。無いですね、ごめんなさい。

 さて、今日はちょっとした要望がありましたので、あまり使われないモンスターであるハウンドくんの使い方をまとめさせていただきます。かなり強力なはずの彼が採用数少ないのは個人的に心苦しいですので、特にシャドールメインで行ってみたい方は是非ともご一読のほどをば。「純構築とか作らないよ」という方は、暗記術というものを勉強してみるのは如何でしょうか。メモリーパレス法など、古人は勉強法でも優れたものを残してくれているものなのですよ。

 

 

ハウンドおさらい

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 まずはテキストおさらい。こちらですね:

リバース・効果モンスター
星4/闇属性/魔法使い族/攻1600/守 900
「シャドール・ハウンド」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカードがリバースした場合、 自分の墓地の「シャドール」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの表示形式を変更する。この時、「シャドール」モンスター以外のリバースモンスターの効果は発動しない。

 こんな効果を持ったハウンドが採用されにくい理由は、ほぼ確実にコレです。「直接的なアドバンテージを稼ぎにくい」点。ふむふむ、なるほど。確かに①はある程度ゲームが進んでからしか機能しませんし、②に至ってはボード・アド、ハンド・アドのどちらを稼ぐとも書いてはいません。

 え?じゃあ何が強いの?せっかくですからここでちょっとこんな言葉について勉強しましょう。テンポ・アドバンテージです。

テンポ・アドバンテージって?

 「ああ!それってハネクリボー?」……あほなこと言ってないでやりましょう。簡単に言うと「選択肢の多さ」です。皆さんも間違いなく思考には入れていますが、ここで一気に明確化しちゃいましょう。

 最近のデッキ構築で「ブラックホールはサイドから」というものをしばしば見かけると思われますが、あれはこのテンポ・アドバンテージを意識しているものです。「初手で引いたら腐る」=「選択肢狭まっちゃうー、うえーん><」ってことですからね。ハンド・アドバンテージ、ボード・アドバンテージなどを一切失っていないはずなのに構築から抜けていくというのは、すなわち「選択肢を可能なかぎり増やしたい」という思いから来ているのです。

 テンポ・アドバンテージの一面をもうちょっと踏み入った風に言ってしまうと、「効果を適用できたら稼げる」「強そうなカード使ったらいっぱい稼げる」となるでしょう。「ハンドもボードも勝ってたはずなのに死んだ」というのは、相手の使用できるカード一枚一枚が生み出すテンポ・アドバンテージが最強すぎて負けたということになります。例えばこういう状況です:

某M(これだけ盤面固めたら勝ちだろう。後ろには通告2枚に警告もあるし、ライブラでハンドも稼げた。クリスタルにクリアウィングもあれば、まあそうそう負けは……)
相手「メイン。羽根」
MC(うぐ、通告と警告がやられたか。しかし盤面にはまd)
相手「ブラホ」
Mち「えっ」
相手「ベイゴマSS」
もち「あああああああああああ」

 ええ、とってもよくある光景ですね(半ギレ)。各カードの持つ能力が結果としてボードアドなどを操作するわけですから、当然発動できなきゃ無意味なわけです。手札に大量に集まってくれたシンクロンモンスターたちは残念ながら相手ターンにはたいそう無力で、ライブラで欲しかったのは《幽鬼うさぎ》や《エフェクト・ヴェーラー》などだったのですけどもね、ええ、ええ。アドバンテージは使えなかったら持ち腐れです。A book that is shut is but a block.(閉じた本など置物と同じだ)ってなもんです。Cards that is shit is but a board.ってところでしょうか。素晴らしい格言を一瞬にして台無しにしていくスタンス。こういうのは韻を踏めるからこそ楽しいのですけどね。センスが欲しい。

 さてさて、テンポについてですが、当然「戦闘破壊できるか」というのも選択肢に含まれますね。これがテンポアドバンテージのもう一面。最終的にボードアドにつながりますが、攻撃力高すぎて殴れない、というのはこちらがテンポを損なっていることになります。向こうはこちらのモンスターぼっこぼこにできるのに、こちらは何もできねー!というのは悲しい限りですね。【BF】デッキでカルートが重視されるのはこのテンポアドという概念のお陰でもあるわけです。当然ボードアドもあるわけですが。

  • 効果を使用できる
  • 戦闘破壊できる

 という2つのアドバンテージに関して、もはや最強クラスのことを書いている人が居ますね。ええ、ホープ・ザ・ライトニングさんです。シャドール的には貴重なリバースモンスターたちが虐殺してくれる憎きあんちきしょうでございますが、攻撃力5000になり、戦闘破壊された時などに発動できる効果を封殺するというのは、まさにこのアドバンテージを稼ぐ、ないし稼がせないカードとしてトップクラスのパワーを持っていると言えますね。

 上のどちらかが出来る場合は「テンポアドバンテージを稼いだ」と言えますし、それを妨害できた場合は「テンポアドを稼がせなかった」と言えます。妨害手段がテンポアド稼ぎだと捉えるのは、このゲームではあまり合っていないかもなので意図的に避けています。マナがあるゲームにおいては「妨害によってマナの差分だけテンポ稼げた」みたいに言えるのですが、このゲームの場合手札がそのまま行動の可能性全てに繋がるため、こういった表現をしにくいのですよね。

 以上でまとめ終了です。脇道に逸れましたので、本題に戻りましょう。

ハウンドの使い方① シャドールのリバース効果を起動する

 効果はちゃんと使うことで初めて意味をなします。存在自体が威嚇になる、という側面もありますが、使えないと無意味だって時も存在しますから、そういう方向で考えていきましょう。特に先攻で融合したいなーという時にも活用できることがあるのがハウンドです。いざ実践:

《シャドール・ヘッジホッグ》《シャドール・ファルコン》《おろかな埋葬》《シャドール・リザード》《ペロペロケルペロス》
 さてこの手、どうしますか?デッキ内にハウンドがあるかないかで評価が一変する手札です。入っているならば最も有り難い手札、そうでないならば厳しいですね。
 入っている場合はこうでしょうか:
 ヘッジホッグセット→おろ埋でハウンド墓地→ヘッジホッグを起こして写し身サーチ→リザードとペロペロでシェキナーガ→リザードで原核落として写し身サルベージ→写し身セットでターンエンド

 これならば手札のファルコン、場のヘッジホッグの双方を生かすことができ、非常に有り難い動きになります。これは相手によるバウンスなどを無視することができ、またライトニングによる妨害などがある程度痛くなくなります。困ったらミドラーシュを出せますからね。

ハウンドの使い方② 攻撃モンスターを妨害する

 テンポ・アドバンテージを稼がれないようにする手段としての使用をします。ミドラーシュなどの戦闘破壊をさせないというのもありますし、攻撃させないことにより、例えば《インフェルノイド・ヴァエル》の効果を使用させないというケースもあります。この場合はファルコンによる臨時の防壁作り以上に優秀な選択肢です。

 ではちょっと例示してみましょう。手札に《シャドール・リザード》と《エフェクト・ヴェーラー》を持ち、自分の場で表側になっている《シャドール・ヘッジホッグ》とセットした《神の写し身との接触》があるとしましょう。相手はそこに《インフェルノイド・ヴァエル》を出してきました。墓地にインフェルノイドは2枚あるとしましょうか、これならヴェーラーを打っても無意味という状況ですね。
 こういう時にやるべきは、相手のヘッジホッグへの攻撃に対して写し身を発動して、ヘッジホッグとリザードでミドラーシュを出し、その後ハウンドの効果でヴァエルの表示形式を変更すると宣言し、墓地の写し身除外だけで止めるという風にすることができます。写し身が2枚ありますので、1枚だけの損害でヴァエルが大暴れすることを避けられるならば軽いものですね。

 相手にテンポアドバンテージを稼がせないためのハウンドの使い方でした。

ハウンドの使い方③ こちらの攻撃を通す

 ②と違ってテンポ・アドバンテージを稼ぐ手段です。例えば壊獣を使用している場合に適用することが多いでしょうか。再び例を出しましょう:

 相手の場に《十二獣ドランシア》《ダイガスタ・エメラル》《M・Xセイバー - インヴォーカー》で伏せが1とある場合について行きましょう。手札にあるのは……《シャドール・ファルコン》《妨げられた壊獣の眠り》《神の通告》《サイクロン》《堕ち影の蠢き》《おろかな埋葬》。デッキにある壊獣はサンダーザキングとガメシエル、ジズキエルとしましょう。色々と考えると妨げは打つしかないでしょうね。さてここで問題なのはデッキの残り壊獣。ここでガメシエルを使用する場合、墓地の妨げでサーチ出来るのが高打点モンスターだけになってしまい相手に送るのが面倒になります。というわけなので出来るならばガメシエルを残したい。そこで想定するのがコチラ:
 サイクロンでバック破壊→妨げで全部流して、相手にサンダーザキング、こちらにジズキエルを出す→おろかな埋葬でハウンドを墓地へ送りサンダーザキングの表示形式を変更する→攻撃する

 これならばガメシエルを残しつつ相手の場を綺麗に整理できますね。33打点を残すこともでき、相手に処理を強要できるという面もあります。他にも相手の場に送れる壊獣がラディアンしかなく、こちらが出せる最高打点がシェキナーガという場合にも活用できますね。ラディアンの守備力は2500ですから100だけ越えられるのです。ドランシア単騎などを潰すことができる、理想的な流れです。

ハウンドの使い方④ 特定のモンスターとコンボする

 表示形式を変更した場合の効果、リバース効果ではなくリバース時の誘発効果、対象に取られた場合に発動する効果などをトリガーさせるために使用するというものです。ファンデッキでは多用される用途ですね。
 有名なのは、それぞれ《極星獣タングニョースト》《ゴーストリック・キョンシー》《青き眼の乙女》あたりでしょうか。リバース効果だけを発動抑止しますので、他の誘発効果と組み合わせるならばいろんな発想が出てくるというもの。乙女+デッキ融合で、シェキナーガ+精霊龍みたいな布陣も形成できます。大変強力ですね。対象を取る効果についてはウェンディゴのほうがリソース損失が少ないため強いですが、ハウンドは上記の3つも視野に入れながら、他のカードのトリガーにも出来うるという強みがあるのです。

ハウンドの使い方⑤ 月の書ケア

 特殊な使い方の一つとして、月の書などの裏側にするカードを使われた後の対策について使用するという方法をお話しいたします。

 えー、例えばですが《アルティマヤ・ツィオルキン》。よく月の書の被害を受けますよね。あれ恐ろしくキツいのですが、もしハウンドが起動できるならばそのまま表側にすることができます。

 逆にこれを利用することで効果の再利用を図ることも可能です。例えばですが《召喚獣ライディーン》などの再利用を図りやすい、あるいは《鳥銃士カステル》などの出しやすい、裏側にするカードとハウンドをコンボさせることで、表側になったばかりのモンスターに生まれ変わりますね。なかなかトリッキーですが、如何でしょう?


 というわけで、ハウンド君指南書でした。テンポアドバンテージという概念を持ち込めば説明をしやすいカードでしたので変な解説を巻き込んでしまったのをお許しください。もっと最小限の話だけで解説できるようになりたいものです。

 展開として主に使いたくなるファルコンに対して、攻守両用のハウンドがあると行動が大幅に変えられます。選択肢を増やすことがシャドールの強みでありますので、ここで一つハウンドまで入れてみて、別のアドバンテージにも目を向けてみては如何でしょうか。「ハウンドを舐めるなよ!」と言ってみせましょう!